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趣味用ブログ。 ネタだったり、近況報告だったり。 分家には書かれない事、書いてます。
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プロフィール
HN:
藤宮紫苑(ふじみやしおん)
年齢:
36
性別:
女性
誕生日:
1980/10/13
職業:
主婦兼パート
趣味:
今はコレでしょうかね…(笑)
自己紹介:
今現在のジャンルはFateシリーズです。
諏訪部さんに嵌まっていますが、最近平川さんもハマリ気味。
演技が上手い人が好きみたいです。
男女問わず。
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新世紀もあっという間に過ぎて、終末論なんて久しい現在。
そんな未来とも言えるべき今において、僕はアナログな不良たちに絡まれていた。
十年一昔って言うけれど、その数え方に則るのなら大昔って気もする不良。
金出せ、なんて今日び、小学生だって使わない。
そうは思うけど、目の前にいる彼らは使っているわけで。
なんともいえない気分で微妙な表情の僕が気に入らなかったのか、一段と声に殺気が篭ってくる。
一応進学校の制服で、眼鏡かけたその辺にいる一高校生。
勉強できるけど運動できません=喧嘩弱そうなんて思い込んで僕を狙ったみたいだけど、生憎とこの手の手合いには悲しいくらい慣れっこだった。
そもそも見た目がそう見えるだけで、実際はそうではないわけだし。
一度反撃してみるのも一興かも、何て思っている間に彼らは実力行使に出ることを決めたらしい。
悲しいくらいに型どおりの脅し文句に、呆れてしまって何も言わなかったのがお気に召さなかったようだ。
相手は五人。
相手できない数じゃない。
そんな事を思っていた時に、突然感じた背後の気配。
仲間がまだいた?
路地裏の行き止まり。
僕の背後には壁しかないはず…だけど?
「ねえ、弱いものいじめって楽しい?」
それは天使のような、穏やかな声だった。
背後の壁の上、逆行の中にいる誰か。
声からして女性には違いないけど…なんで壁の上?
「ああ?」
超がつくほど不機嫌な彼らは、答えを返すというよりも全身で不機嫌を表した。
ざわめき立つ殺気。
仲間じゃないのは良かったけど、この状況で誰かが来るのは…特に身を守る術が無さそうな人が来るのはいい事とは言えない。
一人なら逃げられても彼女(だと思われる)がいては逃げられない。
「質問をしてるの。楽しい?」
「楽しいからやってんにきまってんだろーが!けんか売ってんのか、アンタ」
リーダーっぽいのが一応答える。
けんか売られてるというよりも自分から売ってる気がするけど。
「喧嘩は買うけど売らない主義なの。弱い相手に売りたいとは思わないからね」
「よわいだとぉ?!」
言っちゃったよこの人。
壁の上だからなのか余裕のある彼女は彼らに言ってはならない事を言ってしまった。
自分が強いと思ってるのにそんな事言ったら、挑発以外の何者でもないし。
もう声にならない怒号で下はあふれちゃってます。
この隙に逃げるのも後味悪いしなぁ…
降りて来ないで下さい、お願いしますと心の中で思ったけれど、その願いははかなく消えた。
すとん、と軽やかに降り立った彼女。
暗い路地裏でも分かるほどの美人。
一瞬不良たちも動きを止めたが、美人だからといってあそこまで言われては黙っていられない。
彼女を殴るのは時間の問題だったので、出来る限りの行動はしようと彼女の側に寄った瞬間。
不良の常套句で彼女の雰囲気が変わった。
「やっちまえー!!」
よく聞く言葉…でも、彼女には禁句だったらしい。
寒気を感じるほどの殺気。
それは不良たちではなく彼女のもの。
「殺る、なんて言葉はね…殺される覚悟のある人間の使う言葉よ。そんな覚悟もない半端な人間が使っていい言葉じゃない」
彼女の雰囲気にたじろぐ不良たち。
それでも拳を収められなかった一人が彼女に近づいた。
その動きよりも素早い動作で動く彼女の右手。
近づいた彼の鼻先には銃口が突きつけられていた。
彼女の右手が握っている、銃の。
一握りの彼らのプライドが恐怖に負けた瞬間だった。
あっという間に彼らは逃げてこの場からいなくなってしまった。
「反則技…」
「なんか言った?」
「なんでもないです」
思わず零れた独り言を聞かれて、内心慌てつつ誤魔化す。
「怖くないの?」
何を、とは聞かない。
「はじめて見た訳ではありませんから。正確には…二度目、ですね」
彼女の手のひらに未だに握られている、拳銃。
女性が手にするには少々重そうな銀色の拳銃を怖くないのかと彼女は聞いた。
だから僕はそう答えた。
近くでじっくりと見てみると、彼女はどこにでもいそうな普通の女性。
勿論、体格の話。
美人である事は普通ではなかったけど。
「そっか、変わってるね、君」
「昔からこういうことに良く巻き込まれていたので…普通の人よりも慣れているだけですよ」
彼女…多分年上であろう女性は、綺麗な笑みを浮かべていた。
「なるほど」
そういうこともあるよね、と納得して頷く。
僕としてはそれで同情されたりするよりはいいので、一緒に頷いた。
「あー!!」
場が和んだその時。
路地裏への入り口付近で叫んだのは、子供。
やっぱり逆光で良く見えなかったけれど、その声でびくっと彼女が震えたので彼女の知り合いらしかった。
それなら僕は早々に立ち去る方がいいだろうと彼女にお礼を告げて、入り口にいた少女とすれ違う。
「マリア、何をサボっているんです?!」
お怒りの少女の横を会釈をして通り過ぎる。
それで僕の今日の災難は終わる予定だった。
予定外の終結、いつもと違う結末。
違和感の正体に気付かなかった事がいけなかったのかもしれない。
腕を掴まれて僕は足を止めた。
「あなた…橘真雪さん…?」
腕を掴んだ少女の言葉に、僕は思わず息を呑んだ。
そして、悟った。
災難はこれから始まるのだと。
「そうだけど…僕、なんかしたかな…?」
「一緒に来ていただけますか、あなたに拒否権はありません。申し送れました、私、姫宮アリスと申します」
それは彼女と同じように美少女というにふさわしい顔をした少女の宣告。
「あちらは神崎マリア。私と同じく警視庁特殊処理課の職員…平たく言ったら警察です。一緒に来てくださいね」
いつの間にか側に来ていた彼女、神崎マリアと姫宮アリスに両腕を掴まれて僕は警視庁に連行されたのだった…。




続く…かも?
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補足 祐希は「ゆうき」、孝侑は「たかゆき」です。


 事の始まりは、祐希の一言だった。
「宗教ってさ、戦い多くないか?」
それはきっとただの思い付きだったのだろう。
ところが。
「いや、仏教には戦いないし」
即答してきたのが祐希の親友であり悪友でもある孝侑。
「え?本当に?」
「仏教でその手の話を聞いたこと無いだろ。神は祟るけど仏は祟らないって言葉もあるし」
「んじゃ、仏の顔も三度までは?怒るんだろ?」
そう言われて悩む孝侑。
「でもさ…怒ってるの、見たことあるか?」
彼の中では見たこと無いから分からない…と言ったところらしい。
「怒りっぱなしの仏っぽいのなら知ってるけどな」
「ああ、阿吽の像のことか…。そしたら、阿修羅とかもじゃないか?」
「たしかに」
二人は修学旅行で言った京都のお寺の仏像を思い浮かべていた。
「あ、仏教戦いあったわ」
「ほんとか?」
「ほら、なんていったっけな…」
「あれか?ジハード的な、最後の審判的な、ラグナロク的ななんかかっこいい名称思いついたのか?!」
「ちがうよ…ラグナロク、宗教じゃないし」
なんていったかなーといいつつ、思い出そうとしている孝侑。
わくわくとしている祐希。
「思い出した、漫画だよ」
「…漫画?ああ、でも、そういうの書いてる漫画あるもんな。ジハードとか」
「それは違うって、そっから離れろ。そーじゃなくて」
「魔探偵ロキとか?」
「それは北欧神話で宗教じゃないって言っただろーが。ラグナロクって神々の黄昏って意味だし」
「詳しいなお前、神話好きなのか?」
「いや好きだけど今はその話してねーし」
脱線していく祐希と、話を戻そうとする孝侑。
「じゃあ、なんだよ」
「ほら、ジャンプで前にやってた仏教系漫画…」
「ケンシロウか?」
「それ北斗の拳で仏教かんけーないし。しかも俺らリアルタイムで見てないし。連載ジャンプじゃないんじゃないか?」
「でもほら、千手観音みたいな動きするし」
「それだけだろ。っていうか、それだ」
「動きか?」
「千手観音。主人公だった奴だよ」
「あー、あったわそういえば」
「あ、仏ゾーンだ」
手を叩いて嬉しそうに思い出す孝侑。
「つーか、名前まんまだし」
「…そうだな。でも、アレは戦ってたよな」
「戦ってたな。馬頭観音とか覚えたよな」
「でもすぐに終わってその後シャーマンキングになったよな」
「やっぱ、宗教系ってマニアックなんだな」
「それ言ったらさ、こんな話してる俺らってマニアックじゃないのか?」
静まり返る教室。
もともと放課後に二人だけだった教室は、二人が黙った事で無音の状態になった。
その後、無言のまま暗黙の了解で下校したのは言うまでも無い…。
今日は、いわゆるバレンタインデーなわけだけど…
結構長い間一緒にいるはずのアーチャーの好みがいまいち分からない。
そのせいで、夕方…学校終わる時間までノープラン。
あげる物も決まらず、ずるずる来てしまった。
学校帰りにチョコ買いに行くわけにも行かないし…
本当にどうしたらいいんだろう?
作るっていっても、アーチャーがいるから…どけるしかないかな…?
適当な用事を言いつけて、一時間くらい帰ってくるなって言えば…いいかな?
勘がいいから、ちょっと…いや、すぐにピンと来るんだろうな…
「ん?凛、帰ったのか?」
悩みながら歩いていたら何時の間にやら家に着いていた。
「あ、うん、ただ今アーチャー」
上の空で答えて自室に向かう。
アーチャーはそんな私の様子が気になったようだけど、声をかけてはいけないと考えたのか何も言わなかった。
自室に上がっても、チョコレートの作り方なんて知らないし…
レシピとかだって持ってないし…
…………………
…………
…あ。
格好の場所がある!
あそこに行けば、アーチャーに近づかれずに専念できる。
難点はアーチャーが不機嫌になる事だけど…まあ、それは些細な事だ。
そうとなれば急いでいこう!



と、思い立って出かけて作ってきたのはいいんだけど。
やっぱり不機嫌。
なんでか不機嫌。
いや、理由は分かってるけど…
一時間足らずで戻ってきたのに、どうしてそこまで不機嫌なのかというくらいにアーチャーは不機嫌。
別に泊まって来たわけでも夜中に帰ってきたわけでもないのに。
ちゃんと夕飯には帰ってきてるのに。
出かけて帰ってきてから、私的な会話は一切してくれないアーチャー。
ご飯が出来たとかそんな事だけしか話してくれないので、折角作ってきたチョコレートだけど、渡しかねてしまう。
チャンスは…あとは夕食の後くらいなんだけど…
このままの雰囲気だったら今日中に渡すの…出来ないかも。
いつもの強気な遠坂凛がいなくなってしまう。
もういっそ、メッセージカードでもつけておいて置こうか。
その方が…反応に一喜一憂しなくていいかもしれないし。
そうしよう。
夕食の用意をしているアーチャーに一度部屋に戻ると伝え、自室へ戻る。
レターセットくらいならあるから、それを取り出して一言書く。
ラッピングへ差し込んでこっそりと持って下へ降りるとアーチャーと鉢合わせしてしまい、ばれやしないかと内心は慌てて。
それでも何とか隠し通して席に着く。
今のドサクサで渡しちゃえば良かったかな…
そもそも、渡すタイミングはかっていたのにいざそのタイミングが来ると隠すのってどうなんだろう?
「凛」
「え?あ、何?アーチャー」
不機嫌なアーチャーは席に着くとじっと私を見つめる。
「君は本気なのか?」
「…何が?」
「アレの家に行ったのだろう?アレはきっと本気には取っていないぞ」
…?
なんか、話がかみ合わないような?
「衛宮君の家には行ったわよ?用があったのは桜の方。衛宮君はいたけど用がなかったからそんなに話していないわ」
真剣なアーチャーの誤解を解くために、事実を伝える。
「…エミヤシロウにチョコを渡しに行ったのではないのか…?」
私の言葉に眉を顰めながら言うアーチャー。
「え……ええ?!何で衛宮君にあげるのよ?!アーチャーにあげるチョコを桜に教わりに行っただけだ…し…」
アーチャーの言葉に驚いて、思わずいらない事まで口にしてしまう私。
「私への…チョコ…?」
今度は私の言葉に驚くアーチャー。
珍しいので眺めていたい気もするけど、アーチャーはすぐにもとの表情に戻ってしまう。
「成る程、今までの君の奇行はそういう理由だったのだな」
いつも通りの意地悪そうな笑みを浮かべて、私の反応を楽しむ。
「う…まあ、言っちゃったからあげるわよ?」
後ろ手に隠していたチョコを出して、アーチャーの前に置く。
表情はそんなに変わらないけど…幾分か喜んでいるように見えなくもない。
もしかして、衛宮君にあげに行ったと勘違いしていたから不機嫌だった?
…焼きもちって事…なのかな? 
「ありがたくいただくとしよう。アレに渡していないという事はこれは義理チョコではあるまい?」
「な…っ、違うわよ!普段お世話になってるからであって深い意味では…」
「ん?手紙がついている様だな」
ラッピングに挟んだ手紙を見つけて手に取るアーチャー。
忘れていた私は慌てて取ろうとするけど、それよりも先にアーチャーが手に取る。
夕食はそっちのけで読み始めるアーチャー。
私はどうしていいのか分からず固まって、アーチャーの反応を待つことになってしまった。
「…ふむ。凛、夕食にしよう」
「え…?あ、うん。いただきます」
あまりにもあっさりとした反応なので、がっかりのような安心のような。
今日はそのまま何事もなく、夕飯の後も何もいわれることがないままに過ぎた。

喜びのあまり私をからかうのも忘れていたという事を知ったのは、後日。
日が経つに連れてからかわれる羽目になり、手紙なんてつけなければ良かったと後悔した。
クリスマス。
今も昔もそんなに思い入れがある行事じゃない。
本来の意味で取るならば私が祝う意味がないし…それに、一人じゃやってもつまらないし。
だからそれを特別な行事として考えた事はなかったんだけど。
夏過ぎにやった大掃除でそれを見つけたんだと思うんだけど、学校から帰ってそれが出ているのを見たときには本当に驚いた。
父さんはそういうのをやる人じゃないし、母さんは…多分やっていても父さんに従ってやらない人。
なのにうちにそれがあるわけは…他でもない、綺礼が持ってきたのだ。
教会は毎年ミサを行うものだし、それも当然ある。
いくつかあるうちで飾りやすい大きさのそれを、アイツはうちに持ってきたのだ。
子供のうちにこれくらいやっておけ、と言い残して置いて行ったこれ。
目の前で綺麗に飾られているこれは、きっとあいつが出したんだろうけど…
その出した張本人は夕飯の支度に追われているらしく、出迎えにきたもののその後は顔を見せていない。
着替えて降りてきて居間のドアを開けたらあったものだから、驚いて声をかけるタイミングを逃した。
律儀なサーヴァントだ…店の前にあるもののように綺麗に飾ってある。
自分の身長よりも小さなそれに飾り付けるのは大変だったのではないだろうか?
「ん?凛、紅茶がはいったのだが…」
席に着いていると思っていたらしいアーチャーは私がそれの前で呆然と立っているのを見て言葉を切った。
「なに、あったから飾ってみたまでだ。出来る限り部屋の色調を乱さない色で飾ったつもりだが…お気に召さないかね?」
いつもどうりの変わらない態度で淡々と話すアーチャー。
この時期になるとクラスメイトたちはそれぞれの年齢に見合った盛り上がり方をしていた。
それに混ざることなく、聞かれれば教会にミサに行くと返す私を、クラスメイトたちは敬虔なクリスチャンと勘違いしていた。
ミサに行くわけではない。
ただ一言、メリークリスマスと言いに行くだけ。
律儀にもそれをずっと繰り返してきた。
ケーキを食べてプレゼントを貰う。
初めはそれだけだった情報が、途中からは子供同士で騒ぐと言う要素が加わり、最近は恋人同士で祝うと言う要素が加わった。
年齢が上がれば上がるほど本来の意味から離れていくクリスマスに、苦笑しつつも興味がないというわけではなかった。
やろうと誘われればやるだろう。
ただ、私は魔術師の家の後継者で、それを抱えて一緒に生きていける人でなければそれはありえないだろうと考えていただけ。
それなのに。
突然の飾りつけ、多分その為の料理。
コイツは…
「…何でやる気になったの?今までやらなかったのに」
「なに、見つけてそういうのもいいのではないかと思っただけだ。たまにはよかろう?息抜きにはなるさ」
興味がなかったわけじゃない。
ただ、一人でやるものではないからやらなかった。
その気持ちの表れがこれだ。
捨てようと思えば捨てられたのに、いつかやりたいと心の底で思っていたがゆえに捨てられなかったもの。
「君が気に入ってくれたのならば毎年飾る事にしよう。料理も用意してな」
満足げな笑みを浮かべて意地悪そうな態度を取るサーヴァントに調子に乗るんじゃないわよと釘を打って、席に着く。
折角入れてくれた紅茶、早く飲まないと冷めちゃうから。
「でも…綺麗ね。飾ったの初めてよ、クリスマスツリー」
ちょっとくらい普通の女の子に戻ってもいいかな、何て思ったクリスマス。
プレゼントよりも何よりも一緒に祝える人がいるのが一番嬉しい…なんてね。
思っても言わないけど。



終わりー
友達には何でその時名前を聞かなかったんだと怒られた。
仕方ないじゃない、暗闇怖かったし…それに、声に気を取られて忘れてたんだから。


くじら ~声を聞いたら、絶対に分かるから。本当に~


あのあと、その声の主は意外なところで仕事をしていた。
いや、以外でもなんでもないんだけど、そうだと気づいた時すごく…驚いてしまった。
ちょっとしたテレビのコマーシャル。
その、ナレーションの声が…そうだったのだ。
つまり、あの人は声優だったと言う事だろうか。
いや、ナレーション専門の人もいるし…断定は出来ない。
コマーシャルだけでは名前とか分からなかったのだけど、それから半年位して今度はアニメで声を聞いて、声優さんであると確信した。
名前もこの時知った。
青柳華夏(あおやぎはるか)さん。
初めは名前が読めなくて、女の人なのかと思ったけれど驚いた事にこれが本名だった。
そうしてあの人のことを知った私は、高三の冬に進路を変えて声優になるべく専門学校に進学した。
もともと興味があったのもあるけれど、きっとその方があの人に会える確率が上がると思っての事だった。
でも、それに比例して不安もあった。
たった一日…それもほんの一瞬のような時間であの人が自分を覚えているとは思えない。
きっと初対面で出会うんだろうと思っていた。
その日までは。
専門を卒業して、私は初めての仕事に向かう。
アニメの名前はあるけど一話限りのゲストの声。
初めてで名前があるのが嬉しくて、緊張して。
それに…そのアニメにはあの人も出ていた。
やっと、二度目の再会なのだと仕事以上に緊張してしまった。
だから、初対面と言ってもいいその時におばけ屋敷の事を出されるとは思っていなくて驚いてしまった。
「はじめまして、春宮夕陽です。よろしくお願いします」
「青柳華夏です、はじめましてじゃないよね?おばけ屋敷で会ったのが初めてだから」
「…えっ?!」
「ああでもこうしてちゃんと顔を合わせるのは初めてかな」
「あの、覚えて…?」
「あそこまでおばけを怖がってる子は初めてだったからね、記憶に残ってるよ」
他の共演者の人たちもその事を知っているようで、噂の子だと言っているのが聞える。
「でも、私の顔…見てないですよね?」
「声で、分かったから」
声、で?
「アニメのオーディション、受けたよね…それ聞いたんだ。その時に君だと分かった」
「……嘘…だって、おばけ屋敷のあの時から三年は経ってるはず…」
私は…まあ、一聞き惚れって言うかずっと声を追いかけてきたから忘れはしていないけど…普通なら声なんて覚えてない…
「忘れたりしないよ、あの時名前聞いて置けばよかったって思ったくらいだし」
「…?」
「信じてもらえないかもだけど、声に…惚れちゃったんだろうね。こうして君が声優にならなかったら一生会えなかったかもしれないから、感謝してるよ」
「信じます…だって、私…青柳さんの声をテレビで聞いてあの時のおばけ屋敷の人だって判りましたから。だから、声優になったんです。そうすれば…いつか会えるんじゃないかと思って」
思わず、言ってしまってから私はしまったと思った。
だって、他の共演者の人もいるし…大勢の人の前でこの発言はまずい。
「そっか、覚えていないだろうなと思って言ったんだけど…俺を追ってきてくれたのは嬉しい。声優にならなかったら君に追ってきてもらえなかったんだから、声優をすすめてくれた友人に感謝かな」
周りからおめでとうとか良かったねとか声をかけられてる青柳さん。
その意味が分からなくて硬直していると、事務所の先輩が側に来てその理由を教えてくれた。
「ハルはね、ずっと言ってたんだよ。ラジオとかで…おばけ屋敷で出会った女の子の事を。それが夕陽だったんだね」
「ずっと…?」
「その手の話になるとすぐに話すから、内輪では有名なんだ『青柳華夏の噂の君』ってね。まさか夕陽が言っていた憧れの相手がハルだとは思わなかったけど」
先輩は似たもの同士が惹かれあったんじゃないかと笑っていた。
私もそう感じた。
声に引かれてくるなんて、本当にくじらみたいだ。
名前も顔も知らない、声だけしか知らない状態だったのにもう一度出会えた。
「夕陽の声ならどこに居たってきっと分かるよ」
青柳さんがそういってくれたけど、そうだと思う。
まるでくじらのように、声が聞えるならお互いの場所がすぐに分かる。
その後、おばけ屋敷の誤解を解いてちゃんと暗闇恐怖症だと理解してもらった。
お化けが怖いなんて思われているのは、嫌だったから。

おわり



職場がケーキを扱っているので、クリスマス過ぎのUPになります。
ご容赦下さいませ~
多分…事情編はそのまま終わり近くまで流れていくと思います。
今年中に終わるときりがいいんだけどねー
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